2014/10/9
今年、東京ではボストン美術館主催の3展覧会が開催されます。
・ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 世田谷美術館(終了)
・ボストン美術館 浮世絵名品展 北斎 上野の森美術館(開催中)
・ボストン美術館 ミレー展 三菱一号館美術館(10/17〜)
ボストン美術館は昔から日本との結びつきが深く、世界でも有数の日本美術のコレクションを所有しています。また、ボストン美術館の世界で唯一の分館が名古屋にあります。こうした背景はありますが、1年にこれだけの規模の展覧会を3つも開催することはかなり異例だと思います。また、この3展覧会の内容も日本美術である浮世絵、その浮世絵に影響を受けたジャポニスム、そして日本で人気の高いミレーといったように、うまくバランスがとれていて、かつ集客力のある組み合わせだと感じます。
「華麗なるジャポニスム展」での話題の一つが、ジャポニスムを代表する作品であるクロード・モネの「ラ・ジャポネーズ」でした。展覧会で実際の絵を見てインパクトを受ける要因の一つが大きさによるものですが、この「ラ・ジャポネーズ」も縦2m以上もある非常に大きな絵であり、その大きさで鮮やかな赤い着物を着た金髪の女性が扇子片手に振り返る姿は圧巻です。また、印象派の作品と浮世絵との対比は、実際に直接影響を受けたかどうかは別にして、面白い展示の仕方だと思いました。
東京展は終わってしまいましたが、現在は京都で、その後名古屋に巡回するので、もし当地に行くことがあればもう一度見に行きたいと思います。
「浮世絵名品展 北斎」はボストン美術館による浮世絵展覧会の3回目です。ボストン美術館の浮世絵コレクションはその質、量に加えて、公開が限定されているために保存状態が良いことで知られています。代表作である「富嶽三十六景」をはじめ、何度も見たことのある作品ばかりでしたが、全体的に色彩が鮮やかでした。また、普段はあまり目にすることのない「富嶽三十六景」以前の役者絵や浮絵、中にはボストン美術館にしかない作品もありました。私が浮世絵を鑑賞する際は、絵師によるデザインに加えて、彫師や摺師の技術にも目が行くのですが、その面でも堪能できました。
こちらは東京展が巡回の最後ですが、会期は11月9日までなので、できれば再訪したいと思っています。
「ミレー展」ですが、ボストン美術館は母国フランスよりも充実したコレクションを所有することで有名です。その中でも「3大ミレー」と呼ばれている「刈入れ人たちの休息(ルツとボアズ)」「羊飼いの娘」「種をまく人」を揃って鑑賞できるということで、楽しみにしています。
こちらも東京展が巡回の最後になります。会期は来年の1月12日までです。
ボストン美術館は、日本が有望なマーケットだと考えているようで、ほぼ毎年の様に日本で大きな展覧会を実施しているので、今後どのよう作品を見ることができるのか期待しています。