前回までの内容はこちら
―――>「危機管理マニュアル策定のポイント(1)-概観
―――>「危機管理マニュアル策定のポイント(2)-緊急時体制の役割等
―――>「危機管理マニュアル策定のポイント(3)-緊急時体制の構成等
―――>「危機管理マニュアル策定のポイント(4)-初動対応

今回は危機管理マニュアルを構成する要素のうち、「情報発信」に関する検討ポイントを確認します。

緊急事態における情報発信の必要性

緊急事態が発生した際には、適切な対応を行うために情報収集を行うことの重要性を「初動対応」のところで述べましたが、一方で、収集し、整理した情報を様々なステークホルダーに対して迅速かつ適切な情報発信や情報連携を行うことも必要です。ステークホルダーに情報発信を行うことによって、緊急事態に関する情報を共有化するとともに、その対応内容が妥当であるという支持を取り付けることができるようになります。
また、適切な情報発信を行うことはレピュテーショナルリスクの防止、低減にもつながります。緊急事態の当事者が何らかの発表を行うまで相当時間がかかったり、情報開示の内容が限られていたりすると、不信感高まるばかりか、企業や組織に関する否定的な評価・評判(レピュテーション)が世間に周知される可能性があります。その結果、企業や組織の信用やブランド価値等が悪化して業績悪化につながる可能性もあります。緊急事態に対応する中で、レピュテーショナルリスクによる追加的な弊害を避けるためには、適切なタイミングで透明性のある情報発信を行い、ステークホルダーに対する説明責任を果たすことが重要です。
企業・組織を取り巻くステークホルダー

情報発信の対象と手段

情報発信と一言で言っても、その手段は様々です。また、情報発信を行う対象に対して、一方的に情報提供を行えばいいのか、それとも双方向の情報交換が必要なのか、といった、情報連携のタイプも考慮しなければなりません。情報発信の対象となるステークホルダーとの関係性や個々のステークホルダーに対して求められる情報連携のタイプによって、情報発信の分類を行うことができます。分類軸の例は、以下の通りです。
情報発信の分類軸(例)

上記で示したような、自社との関係性と情報連携のタイプを軸にして、想定されるステークホルダーをマッピングした例が以下の様になります。それぞれの枠について情報発信手段や情報連携手段を具体化していく必要があります。
情報発信のマッピング(例)

インターネットを活用した情報発信

緊急事態における情報発信手段として、現在ではインターネットを活用することが基本となっています。特に不特定多数の個人顧客を始めとして、すべてのステークホルダーに対して個別連絡することは実質不可能であり、同報性、迅速性、汎用性の点でインターネットによる情報発信は非常に有効であると考えられます。
インターネットによる情報発信の効果

ニュースリリースの作成

緊急時における情報発信では、公式発表であるニュースリリースが大きな役割を果たします。ニュースリリースの内容は緊急時体制の中で検討され、公開する必要があります。特に緊急時においては、正確性はもちろん、迅速性も問われてきます。そのため、作成されたニュースリリースは承認後直ちに配信するプロセスが必要となります。ニュースリリースの作成プロセス例を以下に示します。
ニュースリリース作成プロセス(例)

次回は「マネジメント」に関して検討すべきポイントについて確認します。

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