皆さんは日常業務を行う中で、時間が足りない、非効率だ、と感じることは無いでしょうか。職務分掌上、主たる仕事が決められていても、その仕事には様々な種類のタスクが組み合わされており、順序や時間配分を考えないと、中々その日にやるべきことが終わりません。また、リーダーや役職者になると、自分だけでなく他者の作業状況も把握することが求められるようになります。そのような混沌とした状態を避けるためには、自分のタスクを管理する作業が必要になります。
タスク管理は、様々な実施すべき作業を「忘れないように」「効率よく」行うことを目的としています。そして、タスク管理をサポートする手法やツールが数多く存在します。しかし、実際にどのくらいの方が効率よく作業できていると感じているでしょうか。
今回は自分のタスクを管理するための留意点等について確認します。

何故仕事を予定通り終わらせることができないのか

皆さんの1日の仕事は原則勤務時間内に終わらせようとするでしょう。しかし、実際にはその範囲で終わらせることができず、止む無く残業しなければならないケースもあると思います。
自分の仕事が予定通りに進まず、遅れてしまう要因としては以下が考えられます。

・仕事の目的が明確でない
・何にとりかかったらいいのかがわからない
・仕事の途中で割り込みされる

最初の「仕事の目的が明確でない」ことは、言い換えれば、どこまでやればゴールであり、成果となるのか分かっていないことです。意外とこのケースは多かったりします。例えば、上司の言ったことを、内容を理解せずに仕事をするような部下に良く当てはまります。

次の「何にとりかかったらいいのかがわからない」ことは、仕事の内容を具体的なタスクに分解できていないことです。つまり、実際に手を動かす前に考える時間が必要なのですが、これを面倒だ、やる気が出ない、と思ってしまうと、作業を先送りし、手がつかないまま時間だけが過ぎていく結果となりがちです。

最後の「仕事の途中で割り込みされる」こともよくある現象です。自分の仕事の仕掛中に、上司から、同僚から、顧客から様々な依頼や相談があり、対応していると自分の仕事が全く進捗しないこともあるのではないでしょうか。

こうした要因を解消し、仕事を効率的に進める上で、タスク管理は必須であると考えられます。

ToDoリストは有効か?

タスク管理と言えば、ToDoリストを作成して管理している、という方も数多いでしょう。しかし、その日のToDoリストをすべて達成しているという方は意外と少なく、中にはリストの大半が手つかずの項目になっていることもあります。そのように積み残した項目は翌日以降に引き継がれ、結果としてリストに1日では収まらない膨大な項目が並んでいる状態になったりします。それは、タスク項目を並べただけのToDoリストには以下の問題点があるからです。

第1に、タスク項目を羅列しただけのToDoリストには時間の概念がありません。つまり、個々のタスクに対する所要時間が見積もられていません。ToDoリストに数多くのタスク項目があると、タスク項目を減らすために取り掛かりやすく、短時間で終わりそうなタスクから先に手をつける傾向があります。これは言い換えると、時間がかかりそうな(かつ重要性が高い)タスクは後に回しがちだということです。結果として、残ったタスク項目と時間を見比べた結果、残業するか翌日以降に回すかという結論になりがちです。

第2にToDoリストでは緊急性と重要性の区別がつかないことが散見されます。どちらも似たように見えますが、取り掛かる順番としては全く違ってきます。つまり、緊急と考えられるタスクは早めに取り掛かりますが、単純に重要とされているタスクは緊急性の高いとされているタスクの後に回されがちだからです。

第3に未完のToDoリストはストレス要因となります。これは、心理学では「ツァイガルニク効果」と呼ばれており、人間は達成できなかったり、中断したりした事項を、達成できた事項よりもよく覚えているという現象です。マーケティングの世界ではこの効果を用いて購買意欲に結び付けますが、ToDoリストの場合は未完了項目が頭から離れなくなり、不眠等につながる可能性があります。

ToDoリストではなく、予定表を活用

生産性の高いとされている人の多くは、ToDoリストではなく、予定表に基づいて仕事を進めています。(ToDoリストは基礎情報として作成するかもしれませんが...)前項で述べた通り、ToDoリストの問題の一つとして、時間の概念が無いということがあります。時間の概念が無いということは、個々のタスクの所要時間だけでなく、いつまでに終えるかという時間制約も明示されません。

予定表に基づいたタスク管理を行う場合の注意点が幾つかあります。
第1に、予定表の項目ごとの所要時間の基本単位を決めることです。一般の方であれば30分、役職者であれば15分単位でタスクを割り当てていくことを勧めます。そうすれば、1日のスケジュールに意外と多くのタスクを組み込むことが可能となります。そして、予定した時間内に予定した仕事を終わらせることを心掛けることです。

第2に、その日で最も重要なタスクの時間帯から予定表に埋めていくことです。自分に寄せられた依頼を「すぐやります」と安易に引き受けてランダムに予定表を埋めていくと収拾がつかなくなりがちです。また、ワークラウフバランスの観点から言えば、プライベートの予定も含めて実施することも重要だと考えます。

第3に、考えられるすべてのタスクを予定表に組み込むことが望ましいと考えます。例えば、メールチェックも随時ではなく、1回15分×3回といった感じでまとまった時間を確保し、その通りに対応するようにします。こうすることで1日のどこかですればいい簡易なタスクも重要なタスクの間の隙間時間に組み込むことで、効率的な時間管理ができるようになります。

せめて自分のタスク管理をできるように

以上、タスク管理における予定表の活用について述べてきました。ToDoリストがいいのか、予定表がいいのか、人それぞれだとは思いますが、自分がやるべきタスクに対して時間の概念を組み込むことが重要です。つまり、個々のタスクに対していつまでに、どのくらいの手間をかけるのかを把握する必要があると考えます。
ノープランで作業に取り掛かる人は問題外ですが、ToDoリストであれ、予定表であれ、注意しなければならないのは、計画を作成するのは短時間で行うことです。自分の作業計画に何時間も使っている人を見かけることがありますが、それは本来やるべき作業に費やす時間をどんどん削っていくことに等しいです。前日の退社前の数分とか、通勤時の電車の中でその日の計画を立てるくらいで十分だと考えます。
また、立案した作業計画に固執することも問題です。予定通りに作業が進まないこと、急な割り込み作業の依頼、などは随時発生するものです。それぞれの作業の重要性を考慮し、臨機応変に対応することも求められるスキルです。

以上のことを踏まえて、まずは自分のタスクを管理できているかどうかを検証し、必要に応じて改善作業を行ってください。特に他の従業員を管理する立場にある方はすぐにでも確認すべきです。自己のタスク管理ができていない管理者が、メンバーを管理することができるか、はなはだ疑問です。

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