2015/7/18

「フレームワーク」があれば何でもできる?

ここ数年、「フレームワーク」という言葉を見かけることが多くなっています。書店に行けば、過去に様々なコンサルタントが開発した「フレームワーク」を取り纏めた書物や、「フレームワーク」を使って~ができる、といった書物がビジネス書コーナーで大きなエリアを占めるようになっています。先ほど、Amazonで単純に「フレームワーク」で検索したら1000件以上ヒットしました。

しかし、「フレームワーク」がビジネス上の課題を解決する万能ツールであるかのような印象を与えたり、たくさんの「フレームワーク」を知っていればそれだけ解決の幅が広がるという主張がされたりするような最近の風潮にはかなり違和感があります。
(もちろん、書籍を売るためのキャッチコピーであるかもしれませんが)

課題解決とフレームワーク

フレームワークとは、様々な場所で色々と定義されていますが、私が考えるには、
「情報分析、問題発見、問題解決などで役立つ思考の枠組み」
だと考えています。
もちろん、フレームワークを否定するわけではなく、フレームワークを活用することで混沌とした状況の中から取り組むべき課題領域を見つけたり、最終的な結論を誰もが理解しやすいよう整理したりするのに有用なツールだと考えています。

ですが、既存の「フレームワーク」を当てはめて結論が出るほど、企業の抱える課題は単純ではありません。また、もしそれで解決できるのであれば、わざわざ我々の様な外部のコンサルタントに依頼する必要もありません。我々コンサルタントにとって「フレームワーク」はあくまでもツールであり、目の前の課題や解決手段の内容に沿って、既存の「フレームワーク」をカスタマイズする、または新たに創り出すことを行っています。例えば、2×2形式のシンプルな形状の「フレームワーク」であっても、それを表として使うのか、ポジショニングマップとして使うのか、評価軸をどう設定するのか、といったことを考えるものです。

残念な「フレームワーク」の使い手

残念ながら、既存の「フレームワーク」を適当に選び出し、後はその穴埋めをすればいいと考えているコンサルタントも存在するのも事実です。私も以前、若手のコンサルタントに、ある課題をこういう観点で、評価軸は***と***で、と分析をお願いしたところ、「フレームワーク」を下さい、「フレームワーク」が無いとできません、と返されたことがあります。説明した内容を可視化すればそれがフレームワークでしょ、と言っても、理解できないようだったので、結局こちらでイメージ化し、その若手は穴埋め作業を行っただけでした。これは若手に限らず、ある程度経験を積んだ(はずの)コンサルタントでも起こり得ます。大して調べもしないうちから、この手の課題だったらあのフレームワークを使ってね、と指示を行い、言われた側は訳も分からず、懸命に穴埋め作業を行うという場面を何回も見たことがあります。このような場合、課題に関係なく評価軸が決まっているようなものなので、なぜこの評価軸で分析を進めたのかという、そもそもの部分が抜け落ちてしまう状況になります。また、最近はクライアントによっては既存の「フレームワーク」を使った分析くらいは試みているケースもあるので、そんなの分かっていると返されてしまいます。

また、こうした「フレームワーク」の使い方をするコンサルタントは別の問題を引き起こす可能性があります。実際に作業を行う際に、様々なデータを参照し、また、色々な方にヒアリングを行って多種多様なデータを収集しますが、こうした情報を「フレームワーク」に穴埋めしていく中で、「フレームワーク」の枠に当てはまらない情報を無視する傾向にあることです。収集した情報は膨大な量になるので、この中から必要な情報を取捨選択してしなければならないのですが、穴埋めするコンサルタントはその判断基準が、「フレームワーク」に当てはまるかどうかで決めているのです。そして、こうした穴埋めできない情報の中に、課題解決に向けたキーが含まれていることが往々にしてあるものです。本来であれば、こうした情報も有用なのかノイズであるのかを判断し、何らかの関係があれば、逆に「フレームワーク」の枠組みを変え、再検討を行うことを繰り返して、課題の原因や解決策に近づいていくのです。

最後に

ビジネスの課題を解決するツールとして色々な「フレームワーク」を知ることは重要ですが、課題を解決するのはあくまでも「フレームワーク」ではなく、フレームワークを使う人間です。「フレームワーク」の穴埋めをするだけでは、課題を解決したとは言えません。目の前の課題に対して適切なフレームワークを選択し、収集した情報に応じてカスタマイズすることで課題の解決に近づくことができるのです。

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