2014/11/26

先日、新宿の東京オペラシティで行われているザハ・ハディドの展覧会に行ってきました。ザハ・ハディドという名は知らなくても、新国立競技場を設計した人と言えばわかる方も多いと思います

彼女は今では世界的に注目されている建築家ですが、独立から10年以上も実際に建築された建物はなく、「アンビルト(unbuilt)の女王」と呼ばれていました。展覧会の冒頭はそうした時代のドローイングや模型等の展示でした。ドローイングは建築物というよりは、抽象絵画をCGで3D化したように見えました。このエリアでは日本でのプロジェクト2件が紹介されていましたが、時代を見ると1980年代後半のバブル最盛期であり、当時の日本であればむしろ実現しなかったことが不思議に思いました。会場に再現されたムーンスーン(モンスーンじゃなくて?)レストランの内装は、その独創性と同時に、当時のバブル感が強く感じられました。

次のセクションでは、アンビルトの時代の後、実現したプロジェクトの模型や映像、そしてインテリア等の展示でした。恐らくは早くからコンピュータによる三次元デザインを行ってきたのでしょうが、解析技術や施工技術の進歩により、ようやく建物として具現化が可能になったのではと思います。建物自体は曲線を多用した部分もあれば、鋭角的な面を張り合わせた構造もあり、その組み合わせで独創的な形状を創り出しています。模型や写真を見ると、デザイン先行ということではなく、空間に余裕があり、採光も十分にされているようで、建物としての機能が損なわれていることは無いように見えました。

最後のセクションでは、注目されている新国立競技場に関する展示でした。当初案から現在の状況まで、進行状況が確認できると思います。現在でも様々な意見があり、当初案から縮小もされていますが、予算や工期といった制約の範囲内で、ザハのアイディアをうまく活かした建造物になればと思います。

ザハの建築は非常に独特の形状をしていますが、決して周りと調和していないということはないと思います。むしろ、その前衛的な形状をした建物の存在によって、その地域の将来の活力や変化のきっかけになるのでは、と感じました。色々と刺激を受けた展覧会だったと思います。

展来会は12月23日まで開催されているので、興味のある方は足を運んではいかがでしょうか。会期末は辺り一帯クリスマスモードになると思いますので、気を付けてください。

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