作成日:2014/10/15

今年の4月にPCクライアントのOSであるWindows XPがサポート終了を迎えた際に対応が遅れている企業が多く、セキュリティの脆弱性に対する懸念が大きかったのは記憶に新しいのですが、今度はPCサーバーのOSであるWindows Server 2003が来年の7月にサポート終了となります。この時点でWindows XPと同様、セキュリティパッチが提供されないため、残り1年を切っている現時点で対応が決まっていないと、Windows XPと同様の騒動になるかもしれません。
一方で次から次にサポート終了が訪れる状況に、十分な準備期間がなく、どうにか対処している担当者も多いのではないでしょうか。
今回はこうしたサポート終了に適切に対応するための、ITの資産管理や投資管理を絡めた施策について検討してみます。
 

マイクロソフト製品のサポート状況

まず、マイクロソフト製品のサポート期間について確認します。
現時点におけるマイクロソフト製品のビジネス用ソフトウェアのサポートポリシーは、

  • 製品発売後、最低 5 年間のメインストリームサポート
  • 最低 5 年間の延長サポート

となっており、最低10 年間のサポートが提供されます。OSとオフィスソフトについて、今後のサポート状況を一覧にしました。
Microsoft製品サポート状況
クライアントソフトではWindows XPとOffice 2003が今年の4月にサポート終了を迎えたので、次は2017年のWindows VistaとOffice 2007になります。一方、サーバーOSについては前述の通り、来年7月にWindows Server 2003がサポート終了した後は、2020年のWindows Server 2008になります。
それでは、現状のPCクライアントOSの状況はどうなっているでしょうか。ネットマーケットシェアのサイト(http://www.netmarketshare.com/)でクライアントOSの過去6か月の動向について確認すると、以下のような結果でした。
デスクトップPCのOSシェア

こちらのデータはビジネス用と個人用の合算になりますが、Windows XPを継続使用しているのが全体の20%以上であり、全体の構成比はほとんど変化がありません。Windows XPを継続使用していることについて、昨年末にトレンドマイクロ社が行った調査では以下の理由が上がっています。時間的な制約や環境上の制約、コスト上の制約が上位を占めていますが、現状でも支障がない、利便性優先といった理由は、インターネットセキュリティのリスクについてどう考えているのか、疑問に感じます。

WindowsXP利用継続理由

同様に、来年のWindows Server 2003のサポート終了に向けた企業の対応状況を調査した結果が発表されましたが、こちらもWindows XPと同様、サポート終了までに移行が終わらない企業も多くなりそうです。移行作業が終わらない理由の大半は、現時点で既に着手遅れを含むスケジュール遅延による理由が目立ちますが、最大の理由はコスト上の理由によるものです。
WindowsServer2003移行状況

 

IT資産管理の活用

こうしてみると、OS等のサポート終了に伴う移行作業について、必要性は感じているが、様々な理由で対応しきれないという状況にあるようです。その理由についても、コスト上の制約、環境上の制約、時間的制約、等々ありますが、そもそも事象の認識や着手が遅れているのではないでしょうか。
クライアントPCもPCサーバーも移行作業自体に多大な時間がかかりますし、業務アプリケーションの改修等、事前に行うべき作業も多いので、1年前程度の準備期間では足りないのではないでしょうか。また、コスト上の理由にしても、マイクロソフト社のサポートスケジュールは明確ですから、これに合わせて予算取りを行わなければならないはずですが、実際には同時並行で動いているプロジェクトに無理やり割り込ませた結果、十分な予算やリソースが確保できていないのではないでしょうか。
また、移行方式についても以前のようにリプレース一辺倒ではなく、シンクライアントやクラウドの活用等の施策も検討の余地がありますが、実際に検討されているのはどのくらいでしょうか。
上記の事象にはならないよう、IT資産管理の活動を見直してはいかがでしょうか。IT資産管理というと、最近ではソフトウェアライセンス管理が注目されていますが、これは資産管理対象のごく一部です。企業内のPCやサーバーは、それぞれに導入されているソフトウェアも含め、インベントリ管理されているケースが多いと思います。インベントリはある時点での保有するIT資産の状況の一覧になりますが、これに時系列の概念を追加することで、将来のOSサポート終了に影響を受けるIT資産が確認できることになります。この内容を中長期計画に反映し、IT投資のポートフォリオに組み込むことで、あらかじめ必要となる予算とリソースを確保することができると考えます。また、ハードウェアの保有状況が購入かリースかによっても、移行のタイミングの最適化を図ることができると思います。
さらに重要なのは、数年先の移行の必要性を見越して、新しい技術やサービスを活用した全く別の環境への移行も視野に入れて検討することもできるのではないでしょうか。例えば、ファイルサーバーやメールサーバーをサポート終了のタイミングでクラウド環境に移行するといった考え方も早くから立案できると考えます。また、リプレース以外の施策を採用することで、ITコストの削減に結び付けることも可能になると考えます。
簡単に、IT資産、IT投資とIT計画との相関図をまとめたので、ご確認ください。
ITMイメージ

 

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